楽しい無料奉仕活動も、お金をもらうと楽しくなくなる【社会規範のコスト】

こんな方におすすめ

  • 無料ボランティアが楽しい理由を知りたい。
  • 社会規範と市場規範の違いを知りたい。
  • お金そのものとは違う、プレゼントの生み出す効果を知りたい。

 

彼女と二人で彼女が手作りしてくれたディナーを食べているAさん。

シーフードのグラタン、チキンステーキ、野菜たっぷりのシーザーサラダと、豪華な食事にAさんは大満足だ。

食後一服しながら、彼女を見つめつつ、財布を取り出すAさん。

「○○ちゃん、美味しいごはんありがとう。いくら払えばいいかな?」

彼女が唖然とする中、Aさんは続ける。

「5000円くらいかな、それとも8000円くらいの方がいいかな」

彼女は、どんな反応をするでしょうか?

良い雰囲気でディナーを楽しんでいた彼女が、信じられないという目でAさんを見つめてくるかもしれない。

彼女はしばらく言葉を失って、黙り込んでしまうかもしれません。

もしくは「あたしは、あなたからお金をもらいたいからディナーを作ったんじゃないわ」と顔を真っ赤にして怒り出すでしょうね。

来年の今頃、Aさんは一人でコンビニの弁当を食べている状態になっているはず。

人は社会規範と市場規範の狭間で生きている

なぜ、冒頭の彼女は怒り出してしまったのか?

答え:私たち人間は、社会規範で作られた世界と、市場規範が適用される世界の、2つの世界に生きているからです。

社会規範には

  • ちょっと重い荷物を運ぶのを手伝ってくれない?
  • 愚痴を聞いて欲しいから、晩御飯一緒に付き合ってくれない?

このような、友人関係での頼み事が含まれます。

社会規範は、社交性と共同体で生きるための必要性と深い繋がりがあり、お金が絡んでいないので、関係性は緩やかだ。

あなたが、友達に筋トレのノウハウを教えてあげたからと言って、友達があなたに何かしらのノウハウを教えないといけないわけじゃないんです。

単純に、無料で教えてあげただけなんですから。

友達に教えてあげたことで、あなたも友達も良い気分になるし、友達もあなたに何かのノウハウを教える必要はない。

もう一つの世界、市場規範はまた違った別のシステムで成り立っています。

雇い主と従業員、貸す側と借りる側、売る側と買う側など、お金のやりとりが発生する固い関係性です。

市場規範が悪いシステムだと言いたいわけではありません。

市場規範があることで、対等な関係性で商品のやりとりやお金の支払が行われます。

そして、市場規範では、自分が支払った金額に見合う対価が手に入ります。

社会規範と市場規範を分けて生きる

社会規範と市場規範を別のもとと考えて、しっかり分けて生きれば、あなたは楽しく生きていくことができるはず。

例えば、身体の関係を例に取ると

社会的規範の中では、相手との付き合いの延長として無料で身体の関係が行われる。

恋人、夫婦などですね。

一方の市場規範の中では、お金のやりとりを介して、身体の関係が行われる場合もある。

大人のお店、夜のお店などですね。

市場規範では、しかるべきお店で、決まった料金を払えば、対価として身体の関係が持てるのでシンプルです。

付き合っている彼女に「5000円払うよ?」と言って、彼氏は行為に及ばないですよね。

そして、お金を介した大人の付き合いに、愛情のつながりを求める人もいないはず。

デートの代金をどう考えるのか

もう一つ事例を見ていこう。

彼女と付き合い始めたBさん。

1回目から4回目のデートで、Bさんが代金をすべて支払った。

そしてBさんは「そろそろキスしてあわよくばその先も」と考えた。

Bさんの財布事情が、徐々に厳しくなってきた。

すると、交際という社会規範の中に、市場規範が徐々にはいりこんできた。

そして、Bさんは5回目のデートで「君との付き合いに、俺はこれだけのお金を使ったんだよね」と口にしてしまった。

彼女は、どんな反応をするだろうか?

きっと彼女は「あたしのことそんなふうに考えてたの?」と怒って、Bさんの前から去っていくでしょう。

社会規範の交際に、市場規範のお金ありきの考えを持ち込んだ途端「ビジネスの関係」になってしまうんです。

ボランティアと報酬の違い

アメリカで行われたある依頼が、社会的規範と市場規範を示す参考事例になります。

アメリカの退職者協会が、低価格での仕事として退職者の相談を依頼した。

だが、低すぎる料金設定のため弁護士たちは仕事を断った。

その後、退職者協会側の責任者が考え方を一変して、

ボランティアとして無料で退職者の相談を依頼した。

すると、多くの弁護士が喜んでOKを出してきた。

弁護士たちは、なぜ低価格の依頼に応じなかったのでしょう?

理由は簡単で、金銭が絡んだ仕事になった途端に市場規範を適用するため、自分の市場価格はそんなに低くないと考えたからです。

逆に、ボランティアとして依頼されると、社会規範を適用するので、喜んで依頼をOKしたんです。

低価格のボランティアと考えてもよさそうですが、なぜ低価格ではだめなのでしょうか?

答えはシンプルで、一度市場規範の考え方を持ち込んでしまうと、社会規範が適用されなくなるからです。

プレゼントとお金

先ほどのAさんの事例を「プレゼント」に変化させてみるとどうなるか。

彼女の作ってくれたディナーを食べ終えた後、プレゼントを取り出すAさん。

「○○ちゃん、美味しいごはんありがとう。お礼と言ってはなんだけど、俺からのプレゼント受け取ってくれないかな?」

今回の場合、彼女はどんな反応をするでしょうか?

彼女はきっと、頬を赤らめて「あたしのためにプレゼント用意してくれたのね。嬉しい。」と言って喜びのあまりあなたにハグをするかもしれませんね。

プレゼントは社会規範なのか?

プレゼントと社会規範の関係性を示す、ある実験を例に見ていきましょう。

被験者全員に、簡単なパソコン作業をやってもらう代わりに、プレゼントを渡す。

➀グループAの被験者には、100円相当のチョコをプレゼントして作業をやってもらった。

➁グループBの被験者には、500円相当の高額チョコをプレゼントして作業をやってもらった。

結果は、どちらのグループの被験者も同じくらいしっかり作業をこなしてくれた。

実はもう一つ実験が行われていて、

➂グループCの被験者には、無報酬のボランティアで作業をやってもらった。

結果、グループCの被験者たちも、プレゼントをもらった被験者たちと同じくらいしっかり作業をこなしてくれたんです。

このように、プレゼントをもらうことで悪い気分になる人はいないですよね。

そして、プレゼントがどんなものであっても、社会的規範の範囲内に収まってくれて、市場規範は適用されずにすむんです。

プレゼントの値段を告げてはいけない

プレゼントと市場規範の関係性を示す、ある実験を例に見ていきましょう。

被験者全員に、簡単なパソコン作業をやってもらう代わりに、プレゼントを渡す。

➀グループDの被験者には、100円相当のチョコだと値段を告げプレゼントしてから、作業をやってもらった。

➁グループEの被験者には、500円相当の高額チョコだと値段を告げプレゼントしてから、作業をやってもらった。

結果、グループDの被験者は、100円に見合う作業しかしなかった。

そして、グループEの被験者は、500円に見合う多めの作業をこなした。

このように、プレゼントの値段を告げた途端に、プレゼントに市場規範が適用されてしまうんです。

まとめ

彼女とデートするとき、デートの代金を自分が払ってもお金のことを口にしてはいけません。

ディナーは高かったし、映画館のチケット代も、ポップコーンのお金もあなたが払ったのかもしれない。

ですが、お金のことを口にすれば、あなたと彼女の関係性は、社会規範から市場規範に変わってしまうでしょう。

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